私たちの初心
DeepSRT の初日からの原則はこうだ:動画を観るためにモデルのリーダーボードを研究させられるべきではない。2025 年のリリース時、私たちはそれを徹底していた——API キーの提供すら不要で、Gemini の呼び出し費用はすべてクラウドの裏側で私たちが負担していた。単一で、信頼できて、設定ゼロ。それが当時の「デフォルト」の全てだった。Gemini はその約束を支え続け、今もデフォルトのままだ。
だが 2026 年の風景は変わった。ネイティブアプリ化でキーはあなたの手に渡り(BYOK)、open weights モデルが猛追してくるのを見てきた。無料のクラウドモデル、信じがたいほど安い API、そしてあなたの Mac の上で動くローカルモデルまで。「信頼できる」がもはや希少でないなら、一つの選択肢しか出さないことは保護ではなく制限になる。だから今度は、モデルの選択権もあなたに渡す:プロバイダもモデル ID もあなたが決める——予算の上限も、あなた自身が決める。
次のリリースで、DeepSRT はあらゆる OpenAI 互換エンドポイントに対応する。OpenCode Zen、OpenRouter、DeepSeek はワンタップのプリセット、Ollama や LM Studio は URL 一つ。字幕と要約は別々に選べる——字幕は安いモデルで、要約はフラッグシップで。
評価軸:速度と価格——ただし二つのタスクは正反対を求める
選択肢を開く前提として、選び方を自分たちで精密にする必要があった。DeepSRT の二つの AI タスクは、要求がほぼ正反対だ。
ライブ字幕は追跡戦だ——3 分地点を観ているなら、そのセグメントの訳は数秒以内に届かなければならない。高頻度で機械的な仕事:40 分の動画は 20 行ずつ十数バッチになる。ここではレイテンシがすべてで、品質は「十分」であればいい。
要約は動画につき一度きり。良い要約のためなら 10 秒待てる。ここでは品質がすべてで、レイテンシはほぼ気にならない。
つまり問いは「どのモデルが最強か」ではなく、「どのモデルをどの席に座らせるか」だった。
Thinking:レイテンシに隠された税金
テスト中、典型的な罠にはまった。新世代のハイブリッド推論モデルはデフォルトで思考する。23 トークンの一文を訳すのに、モデルはまず 151 個の推論トークンを燃やして人生を考えた——品質は良くならず(翻訳に哲学は要らない)、字幕バッチの遅延は数秒から 40 秒になり、思考トークンは満額課金される。
私たちの対処:字幕バッチは常に思考をオフ(遅延は十分の一に)、要約はモデルのデフォルトを維持——動画の物語を理解するためなら、思考は払う価値のあるコストだ。この判断は組み込み済み。どのモデルを選んでも、思考について考える必要はない。
実測:DeepSeek v4-flash vs Gemini Flash-Lite
字幕翻訳を例に、私たち自身が計測した数字(20 行の実バッチ):
| DeepSeek v4-flash | Gemini 3.5 Flash-Lite | |
|---|---|---|
| Input / 1M tokens | $0.14 | $0.30 |
| Output / 1M tokens | $0.28 | $2.50 |
| 20 行バッチの遅延 | ~3.7s | ~1–2s |
| 40 分の動画 1 本 | ≈ $0.009 | ≈ $0.05 |
字幕翻訳は output 中心のタスクなので、効くのは output の 9 倍差:換算で動画 1 本あたり約 6 倍安い。さらに DeepSeek は繰り返されるプロンプト接頭辞を自動キャッシュする(各バッチのルール部は完全に同一)ので、ヒット時の input はほぼ無料。一方 Gemini Flash-Lite はレイテンシの低さと挙動の安定で勝る——だからこそデフォルトのままだ。
そして新アーキテクチャの一番良いところ:選ばなくていい。プライマリとフォールバックは別プロバイダで構わない——字幕の主力は DeepSeek、控えに Gemini。サードパーティが制限や障害を起こした瞬間、Gemini が引き継ぎ、字幕は一コマも欠けない。
選択権
こう問う人もいるだろう:これは「リーダーボードの宿題」をユーザーに返すことでは?違う。デフォルトは今後も私たちが調整した Gemini の組み合わせで、何も触らなければ体験は今日と同じだ。
だが安くしたいなら——無料モデルは一銭もかからない。速くしたいなら——Gemini のままで。プライバシーを極めたいなら——Ollama はすべての言葉をあなたの Mac に留め、モデルベンダーからさえ見えない。予算の天井を引くのはあなただ:月 $0 から、品質に払ってもいいと思える任意の額まで。
DeepSRT にはサーバーがなく、API 費用から抜き取りもせず、いまやモデルにも縛られない。私たちが売っているのは特定モデルへの入場券ではなく、これら全てを組み上げ、調整し、維持し続けるその手だ。エンドポイントが誰かは重要ではない。選択権はあなたのもの——これが BYOK の完成形だ。